「腸脳相関」「腸は第二の脳」は、デタラメの可能性大。

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こんにちは。

あなたも「腸脳相関」「腸は第二の脳」という言葉を聞いたことがあると思います。

なんでも、脳から腸だけでなく、腸から脳へも指令が出ているそうです。それで、腸内環境や腸内細菌が大事だと言われているようです。

そのため、ヤクルトやヨーグルト、サプリメント、発酵食品などを勧めるサイトをよく見かけます。

どうせ、企業利益のためのデマだろうと思って「腸脳相関」や「腸は第二の脳」についての記事を読むと、何を言っているのかよく分からず、頭が混乱してきます。

とりあえず、腸脳相関については、このように書かれています。

脳腸相関とは?
こういった機能性消化管疾患の患者さんを診療していて気づくのですが、おなかの症状だけでなく、眠れない、落ち着かない、頭痛、食欲がない、意欲がない、などの精神神経症状を訴えられる患者さんがたくさんおられます。腸のせいで脳に影響しているのか、脳のせいで腸に影響しているのか難しい悪循環になっているように思えます。「脳腸相関」として医学的には以前からよく知られた現象として有名です。
これまで、便が軟らかくなりやすい下痢型の過敏性腸症候群の患者さんに対しては、「ストレスが原因ですから、生活などのライフスタイルを見直すことが重要です」といった説明をすることが治療の出発だったわけです。ところが、最近の研究によりこのような脳腸相関をある程度科学的に説明することが出来るようになってきました。
過敏性腸症候群の病態においては、腸内フローラの異常、短鎖脂肪酸などの腸内環境の異常により、腸から脳への信号伝達に異常が生じているようです。消化管内腔の粘膜細胞に刺激が加わると、この信号は迷走神経下神経節を介して延髄孤束核へ、また、脊髄後根神経節を介して視床、皮質へ伝えられると考えられています。これが内臓知覚といわれるものです。この内臓知覚には消化管壁内に存在している内在性知覚ニューロンからの信号も関係していると考えられています。特に、この内在性知覚ニューロンの情報伝達にはセロトニン3受容体(5-HT3受容体)が関与していると考えられており、過敏性腸症候群の下痢型の治療薬として5-HT3受容体の拮抗薬が著効することが証明され、臨床応用されています。腸内細菌のなかで神経伝達物資であるγアミノ酸GABA)を産生する菌があることも確認されています。この菌が少ない子どもは、行動異常、自閉症などになりやすいとされています。自閉症の子どもに対して腸内環境の改善による治療が試みられています。

~~~中略~~~~

幸せホルモンのセロトニン
私たちが脳で幸せを感じるもとになる「幸せ物質」のひとつがセロトニンなのです。このセロトニンが脳内で正常に作用すると、ヒトは前向きな気持ちを保ち、幸せを実感し、健康ですごせるとされています。セロトニンが不足すると、怒りやすく、時間が経過してもそれを抑えられなくなり、キレやすくなるようです。実は、このセロトニンは腸管で作られているのです。さらに、このセロトニンの生成に特定の腸内フローラが関与することが明らかになりました。無菌マウスの血中セロトニン濃度が通常環境で飼育されているマウスに比較して低濃度であり、無菌マウスは落ちつきがなくなるようです。このようなマウスを普通の環境に戻したり、乳酸菌などを投与すると、マウスは落ちつきを取りもどします。子どもの脳の発達には腸内細菌の働きが大変重要であるようです。

脳腸相関が科学的に説明できるようになってきています | 学術コラム | 食と健康Lab | 太陽化学株式会社

  

専門用語で小難しく書いてありますが、精神症状が腸に原因があるのか、脳に原因があるのか分からないけれども、腸と脳には関係があるということを言いたいのだと思います。

普通に考えて、脳は全身を制御しているので、脳と腸に関係があるのは当たり前だと思います。

で、腸内環境が悪くなると、腸から脳への信号伝達に異常が生じると書いてありますが、意味が分かりません。単に、腸の状態が悪いという信号が脳に伝えられて、脳がその腸の状態を把握して、体や腸にそれに対処する指令を出しているだけではないでしょうか。

さらに、腸で作られたセロトニンが脳で作用していると書いてあります。これについて面白い記事を見つけました。

例えば、セロトニンの不足が原因だからといって、セロトニンそのものを口から摂取しても、不足している脳内のセロトニンは増えません。セロトニンは、血液脳関門を通ることができないからです。血液脳関門は、脳組織と血管の間にある物質の移動を妨げる障壁のこと。
セロトニンが存在する場所は、消化管粘膜が90%、血小板が8%、脳内の中枢神経系が2%で、大半が腸で生成されたセロトニンになります。脳内セロトニンは、脳幹で合成されたものなので、腸で生成するものとは区別して考えた方がいいでしょう。

モノアミン仮説は嘘なのか|矛盾による否定と新説 - うつアフィ

 

この通り、腸で作られたセロトニンは脳の中には入れないそうです。

ということは、腸内細菌がセロトニンを作っても、脳には何の影響もないはずです。

さらに言っておくと、セロトニンが幸せ物質だというのも眉唾で、このような脳内物質が精神疾患と密接な関係があるというのは、あくまで仮説です。仮説を土台にして、「腸内相関」とか「腸は第二の脳」とか言っているわけです。

モノアミンとはドーパミンノルアドレナリン、アドレナリン、セロトニンヒスタミンなどの神経伝達物質の総称である。そのうち、ノルアドレナリンドーパミンセロトニン精神疾患と密接な関連があることが示唆されており、気分障害、不安障害、統合失調症に関する仮説が提案されている。いずれの仮説も治療薬の作用機序から患者脳内におけるモノアミンの異常を推定しているという共通点を有する。

モノアミン仮説 - 脳科学辞典

 

ちなみに、セロトニン血液脳関門を通過できないけれども、その前駆体が血液脳関門を通過するという記事も見つけましたが、これは嘘がバレたから、言い訳しているようしか見えません。 

しかし、腸で作られたセトロニンは血液脳関門を通過することができません。血液脳関門は血管と脳の間で物質を交換する部分で、脳に有害となるもの、必要にならないものは通過させないようにして、脳の正常な働きが保たれています。
それにも関わらず、腸内環境が整えられると脳内のセロトニンが増加して、認知機能が高まることが確認されています。その理由として考えられているのは、セロトニンの前駆体である5‐ヒドロキシトリプトファンのまま血液によって血液脳関門まで運ばれることで、5‐ヒドロキシトリプトファン血液脳関門を通過することが確認されています。
脳内で合成されるセロトニンと腸内で合成される5‐ヒドロキシトリプトファンを増やすためにはトリプトファンが含まれる食品を摂ることが必要になります。トリプトファンは肉、魚、豆(特に納豆)、チーズ、そば、アーモンドなどに多く含まれています。これらの食品を食べてトリプトファンを多く摂っていれば脳内でセロトニンが多く合成されると一般に説明されていますが、血液脳関門アミノ酸のバリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニンチロシンメチオニンと共通の輸送体によって脳内に取り込まれます。高たんぱく質の食事では5‐ヒドロキシトリプトファントリプトファン血液脳関門を通過しにくくなるため、効率的な摂取法としてサプリメントの活用がすすめられています。
セロトニンそのものが含まれたサプリメントはなく、前駆体の5‐ヒドロキシトリプトファンサプリメントアメリカでは販売されていますが、日本では5‐ヒドロキシトリプトファンは医薬品であり、肥満症やうつ病を改善する抗精神薬となっています。5‐ヒドロキシトリプトファンは脳機能改善の医薬品として使われるほど効果があるということであり、5‐ヒドロキシトリプトファンを腸内で生成するためにもトリプトファンの摂取が有効となるわけです。

セロトニンは血液脳関門を通過しない | 特定非営利活動法人日本メディカルダイエット支援機構

 

いくらセロトニンを作る前駆体が沢山あっても、脳が必要としなければ、セロトニンは作られないでしょう。セロトニンの前駆体が全てセロトニンになるわけではないはずです。

それなのに、セロトニンの前駆体が沢山あれば、セロトニンが沢山作られて、幸せな気持ちになるかのような印象を与えています。

脳に向かった酸素や糖の全てが消費されないように、必要のない物は使われないと思います。

とにかく、モノアミン仮説が真実であることを確認してから話を進めてほしいものです。

おまけに、この記事の質の悪いのは、サプリメントを勧めている上、そのサプリメントがなんと抗精神薬だということです。

精神病の薬は麻薬と同じくらい危険なものです。そんなものをサプリメントとして進めるのは正気の沙汰ではありません。

RAPT | 向精神薬の本当の恐ろしさを私たちはまだ十分に理解していない、とさらに深く認識すべきかも知れません。

 

RAPT | 裏社会による向精神薬の蔓延計画が着実に進んでいます。安易に薬に頼る道が、あなたを廃人同様にします。

 

また、腸脳相関に関して、このような記事も見つけました。

脳と腸は自律神経系や液性因子(ホルモンやサイトカインなど)を介して密に関連していることが知られている。この双方向的な関連を“脳腸相関(brain-gut interaction)”または“脳腸軸(brain-gut axis)”と言う。つまり、消化管の情報は神経系を介して大脳に伝わり、腹痛・腹部不快感とともに、抑うつや不安などの情動変化も引き起こす。そして、これらの情動変化が副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF: corticotrophin releasing factor)や自律神経を介して消化管へ伝達され、さらに消化管の運動異常を悪化させることになる。例えばストレスによって消化管機能障害を呈する過敏性腸症候群では、ストレス刺激によって誘発されたCRFは視床下部や脳幹にあるCRF type 2受容体を介して胃・十二指腸の運動を抑制するが、一方、CRFはCRF type 1受容体を介して結腸運動亢進を起す。逆に、消化管内腔の粘膜細胞に刺激が加わると、この信号は迷走神経や脊髄求心神経を介して延髄や視床、皮質へ伝えられ、いわゆる“内臓知覚”を形成する。

脳腸相関(brain-gut interaction)|用語集|腸内細菌学会

 

これによると、腹痛や腹部不快感が、抑うつや不安などの情動変化を引き起こすそうです。それによって、また消化管に影響を及ぼすと書いてあります。

  

そこで、痛みについて調べてみると、「痛み知覚」が「不快な情動」を含むそうです。

痛みと心理

人は不快な情動によって、痛み知覚を引き起こした有害刺激から逃れようとするようになっているそうです。人間の体ってよくできていますね。

ということは、腹痛という痛みで情動の変化は起こるけれども、それは特別なものではないということです。

腹痛という情報が脳に入り、その有害刺激を逃れるために脳が何らかの働きをしているだけではないでしょうか。それをもっともらしく、腸脳相関と言っているだけですね。

 

痛みが不快な情動を含むので、例えば膝の痛み、腰の痛みでも不快な情動が起こるということです。そして、その情動の変化によって有害刺激から逃れようとするので、膝をかばって歩いたり、腰が痛くないような姿勢をとることになると思います。

ということは、膝や腰も脳と関係もありますよね。

しかし、だれも膝脳相関とか腰脳相関とかは言いません。

 

ところで、最初の引用記事によると、おなかの症状と一緒に精神神経症状を訴える人が沢山おられるそうです。

こういった機能性消化管疾患の患者さんを診療していて気づくのですが、おなかの症状だけでなく、眠れない、落ち着かない、頭痛、食欲がない、意欲がない、などの精神神経症状を訴えられる患者さんがたくさんおられます。

 

これらの症状は、化学物質過敏症の症状と同じですので、このあたりの調査や研究が必要なのではないかと思います。

化学物質過敏症の原因が、石油から作られる化学物質の可能性について。 - Harvest7777のブログ

  

「腸脳相関」「腸は第二の脳」は、化学物質など、本当の病気の原因を見落としている可能性がありますし、仮説が土台になっている部分もありますし、「痛み知覚」が「不快な情動」を含むという当たり前のことを、小難しく語っているだけだと思います。

話は、次回に続きます。

 

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